1.はじめに
ロボアドバイザーとは
老後2000万円問題や人生100年時代といった言葉が一般的になり、投資の必要性が声高に叫ばれる一方で、
銀行や証券会社に勤めるような金融のプロ以外の人にとって、投資を行うハードルは高いと考えられています。
このような状況で投資をサポートするのがロボアドバイザーです。
ロボアドバイザーは、ユーザがいくつかの質問項目に回答することにより、投資するポートフォリオの推奨を受けたり(助言型)、
実際に資金を拠出することで運用を任せる(一任型)サービスを指します。
これにより、投資にそれほど詳しくない人でも、あらかじめ策定された運用ロジックに従って分散投資が始められることが期待されています。
ロボアドバイザーにおけるポートフォリオ決定プロセスは、以下のような手順からなるのが一般的です。
- ① 投資対象とする資産クラスを決定
- ② ポートフォリオ最適化に用いるモデルを決定(例.平均分散モデル)
- ③ 最適化のパラメタの推定(例.期待リターンやリスク)
- ④ 最適化を行い、基本ポートフォリオ候補を準備
- ⑤ ユーザに質問を行い、リスク許容度を推定
- ⑥ 得られたリスク許容度等のパラメタを元に④の候補から基本ポートフォリオを確定
上記のプロセスは助言型と一任型で共通です。 助言型の場合は、決定された基本ポートフォリオに対応した投資信託の組み合わせの提案などが続きます。 一任型の場合は、手数料と引き換えに、投資後の自動リバランスやポートフォリオの見直し、 積立投資、危機時のリスク調整、税金最適化といったサービスが受けられることが一般的です。
2.ポートフォリオ・投資条件の策定
WealthDevのロボアドバイザーは、ユーザがいくつかの質問に答えていくことで、ポートフォリオの策定や 投資計画の作成をサポートする、簡易的なロボアドバイザー・サービスです。 以下では、WealthDevのロボアドバイザーにおけるポートフォリオ決定プロセスを解説します。
投資対象資産クラスの決定
WealthDevのロボアドバイザーは組み入れ資産クラスとして、以下の7つの資産クラスを設定しています。
- ① 国内債券
- ② ヘッジ外債
- ③ 海外債券
- ④ 国内株式
- ⑤ 海外株式
- ⑥ 国内リート
- ⑦ 海外リート
多くの場合、各資産のベンチマーク指数には、代表的な市場インデックスが採用されます (例.NOMURA BPI、TOPIXなど)。 WealthDevは、データの利用可能性と市場インデックスとの整合性を考慮して、代表的な市場 インデックスをベンチマークとしているETFを元に作成した独自指数をベンチマーク指数として 採用しております。
パラメタ推定とポートフォリオ最適化
WealthDevのロボアドバイザーでは、平均分散モデルを元にポートフォリオ最適化を実施しています。
組み入れ資産クラスのリスクは、過去日次リターンを年率化した値を使用しています。
また、個別資産の期待リターンは、簡便的にリスクの一定割合で規定しています。
上記で推定されたパラメタを用いて平均分散最適化を行い作成された有効フロンティアを図1に示します。
図1. 有効フロンティアと基本ポートフォリオ(2021年4月30日時点)
WealthDevのロボアドバイザーでは、有効フロンティア上のポートフォリオのうち、期待リターンが2%~6%の ポートフォリオをリスク許容度1~5のポートフォリオとして使用しています。 図2に基本ポートフォリオの構成を示しています。
図2. 基本ポートフォリオの内訳(2021年4月30日時点)
リスク許容度診断
多くのロボアドバイザー・サービスと同様に、WealthDevのロボアドバイザーでは、
いくつかの簡単な質問から、ユーザのリスクに対する好き嫌いの程度(リスク許容度)を1~5で推定します。
推定されたリスク許容度を元に、最初の推奨ポートフォリオを提示します。
実際に採用するリスク許容度およびそれに対応するポートフォリオが決まると、
ポートフォリオ情報を元に運用シミュレーションを行い、初期投資金額や積立金額の
決定をサポートします。
3.足元市況による振り返り
ポートフォリオは過去の情報に基づいて決定されており、金融市場は一定ではないため、
策定したポートフォリオが足元どのようなパフォーマンスであるかといった情報をモニタリングし、
定期的にポートフォリオを見直すことが求められます。
WealthDevのロボアドバイザーでは、最終的に採用されたポートフォリオを直近5×2営業日で運用した場合のリターンや、
リターンの要因分解を提示することで、ポートフォリオの運用状況の理解をサポートします。